ガチャガチャ
意地悪なやつが嫌な目に遭うという、勧善懲悪な話。
草の中で色々な虫が綺麗な音を出して、演奏会をしていた。それに感心した月はつゆを降らせて虫たちに報いていた。
しかし、轡虫が勝手にやって来て、ガチャガチャ音を立てて、演奏会を台無しにしてしまう。俺が、一番大きな音を立てられるという風に威張っていた轡虫だが、大きな音を立てたばっかりに、人間に捕らえられてしまうという話。
これは多分轡虫が悪いやつで、威張っていると悪いことが起きるという童話のようなものなのだろう。
しかし、轡虫の音がうるさいからと言って、かってに悪い虫にされては轡虫もたまったものではないだろう。
因みにこの轡虫という虫、私は知らなかったのだが、キリギリス科の昆虫なのだそうだ。
アリとキリギリスでもキリギリスは悪役になっていた。キリギリス科の虫というのは人間に嫌われがちなのだろうか。
それは置いておいて、このうるさいガチャガチャをという音を立てるから、悪い虫だというのは非常に人間目線の考え方だ。そもそも、この話は虫と月の話なのだから、虫と月から見てこのガチャガチャいう鳴き声がうるさいかどうかを考える必要があるのではないか。
虫は自分たちが奏でる音でいっぱいいっぱいで、他の虫の音なんて気にしてないだろう。仮に気にしていたとしても、それは、自分の音にかぶって邪魔だということだけで、嫌な音かどうかは関係なさそうだ。まあ、大きい音は邪魔かもしれないが。
月はどうかと考えると、うん届かない。まあ、こんな事言っても、詮無いことだ。
で、この美しいかどうかという基準はあくまで人間本位なのだが、それにしても、そのうるさいガチャガチャ音の轡虫を捕まえていく人間というのは一体どういう魂胆があるのだろうか。
うるさいものが好きなのだろうか。潰さないで籠に入れた点から考えて、うるさいから殺してやろうとは考えてなさそうだ。では何のためにもって帰るのか。これは虫なら何でもいいということだ。何でもいいからとにかく虫を捕まえて持って帰りたい。そのときに一番近くに大きな音を出しているのがいたから、持って帰る。
何という悪食。なんという大食漢
一番趣味の悪いのは人間だとしか思えない。
縊死体
最後に色々可能性を考えさせてくれる作品。
サイコパスな男が好きな女を殺して、その死体を縊死体のように見せかけて放置している。そして、その事が新聞記事になっていないかどうかを毎日確認する。ある日、あるきが新聞に載る。それを不審がって現場に行ってみると自分が首を縊っている。
何とも、良くわからないホラーな話だ。しかし、この時代にサイコパスを書いていたのは面白い。そもそも、何で殺したのかもよくわからないし、新聞を毎日見るのが、犯罪が明るみに出てほしくないのか、出てほしいのかもよくわからない。そして、極めつけは自分が首を縊っていた、というところだ。これはその男がそう見ただけなのか、それとも実際に自分が死んでいたのか。
想像の余地が非常に沢山の残されており、短編と言うのはこういった、完成させずに思考させる美学というのもあるのかと感心した。
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