医者と病人
あらすじ……というか全文
死にかかった病人の枕元でお医者が首をひねって、
「もう一時間も六カしいです」
と言いました。
「とてもこれを助ける薬はありません」
これを聴いた病人は言いました。
「いっその事、飲んでから二、三日目に死ぬ毒薬を下さい」
「もう一時間も六カしいです」
と言いました。
「とてもこれを助ける薬はありません」
これを聴いた病人は言いました。
「いっその事、飲んでから二、三日目に死ぬ毒薬を下さい」
感想
超絶短い。
ちなみに、「六カしい」と言うのはどうやら「むつかしい」と読むらしい。青空文庫の朗読でそのように読まれていた。
話としては毒なのか薬なのかという内容である。
もう一時間も生きていられないなら、二三日後に死ぬ毒を飲めば、二三日は生きられるのではないか。
という、まあ一種の皮肉のようなものだろう。当然二三日後に死ぬ毒を呑んだところで、体が一時間後に死ぬはずなのに、二三日後に死ぬという新たな司令の入った毒を呑んだことでバグを起こし、延命するなんてことは、プログラミングでない人間の身ではあり得ないことだ。
パソコンだったらそういうこともあるのかもしれない。いや、エラーが起きてその場で固まる可能性の方が高そうだ。
でも、実際自分がこんな状況になったら、二三日後に死ぬ毒をくれ、というような皮肉の一つも言ってみたくなる気持ちは分かる。
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